花・ガーデニング

切り花の水揚げ方法とは?花を長持ちさせる秘訣を解説!

 

今回の記事では、切り花を少しでも長持ちさせるために、花屋で働いている私が、切り花の水揚げ方法と花を長持ちさせる秘訣を解説していきたいと思います。

これを読んで下さっているあなたは、花を買ってきたり、花束をいただいたりして、花びんに花を生けたことがあるのではないでしょうか?

また、仏壇にお花をお供えする方もいらっしゃると思います。

できるだけ花を長く楽しみたいなと思った事はありませんか?

切り花を長持ちさせるには、花から水分を失わせないことが大切になります。

ほんのちょっと手を加えてあげるだけで、お花の寿命はのびます。

そこで、ここでは少しでも花を長く楽しむために、切り花の水揚げ方法と花を長持ちさせる秘訣を解説していきたいと思います。

 

切り花の寿命をのばす水揚げ方法

植物は、根の力で水を吸い上げる力と、葉っぱの蒸散作用などの力によって水を取り込んでいます。

切り花は、根から水を吸い上げることが出来ないため、植物が本来もつ水を吸い上げる力よりも弱くなってしまいます。

また、花びんに生けるまでの過程で細菌や空気が切り花の口に入ってしまうと、より吸い上げる力が弱くなってしまいます。

その為、切り口を切り戻したり、割ったり、たたいたりして、水を吸い上げやすい状態にします。

これを水揚げといいます。

水揚げには何種類かの方法があります。

  • 茎の根元を水切りする
  • 茎の根元を湯揚げする
  • 茎の根元を焼く
  • 茎の根元を折る
  • 茎の根元を割る・裂く

それでは、切り花の寿命をのばす水揚げ方法を説明します。

※バクテリアの繁殖を防ぐために、ハサミ、バケツはきれいにして使います。

 

茎の根元を斜めに切る

切り花を買ってきたり、花束などでいただいたら、花びんに生ける前にきれいなハサミで茎の切りたい根元のところで斜めにスパッと切り戻します。

切ったらすぐに花びんに入れます。

新しく切りなおすことを、切り戻しといいます。

植物の茎には、水や養分を運ぶ役割をしている導管というものが伸びています。

切るときは、この導管をつぶさないことが大切です。

斜めに切る理由は、切り口の断面積が広がり、それだけで水の吸い込みがよくなります。

直角に切るよりも、きれいに切れます。

斜めに切った方が、導管をつぶさずにきれいに切れます。

※ぐったりした切り花がある時は、下に説明した方法で水揚げを試してみてください。

 

茎の根元を水切りする

最も基本となるやり方です。

バケツに水をはり、水揚げしたい切り花をバケツの水の中で切り花の茎の切りたい根元のところで、ハサミで斜めにカットします。

水中で切る理由には、切り口から空気の侵入を防ぐためです。

切り口から空気が入ると導管内で気泡となり、水の移動が止まってしまうことがあるからです。

もう一つの理由は、切り口の乾燥を防ぐためです。

水切りするだけでも十分水揚げします。

 

茎の根元を湯揚げする

お花をお湯につけてしまって大丈夫なの?と思ってしまいますが、大丈夫です。

まず、切り花を新聞紙で包みます。

80度以上のお湯を用意します。

切り花の茎の根元を切りたいところで切って、切り戻したら、素早く茎の先の2~3センチをお湯の中に入れます。

茎の太さや形状によって入れておく時間はことなりますが、茎の切り口から、小さな空気が出てくるので、出てこなくなるまで20秒から1分ほど熱湯に入れて待ちます。

用意しておいたバケツの水につけます。

熱湯につける理由は、細菌が死滅することや、導管に入り込んでしまった空気を外に押し出すことなどが主な理由になります。

湯揚げが効果的な花

  • キク
  • バラ
  • トルコキキョウ
  • ストック
  • ダリア
  • スカビオサ
  • ブルースター など

※湯につけた部分は、早く傷み、腐ってしまうので、切るだけで水があがる花にはやらない方がいいです。

 

茎の根元を火で焼く

花や葉に熱が伝わらないように、焼く根元以外の部分は、必ず濡らした新聞紙などできちんと巻いて保護します。

新聞紙を巻くときは、葉が上を向くようにするために、花を下にむけて新聞紙で巻きます。

切り花の根元から1センチほどのところを切って、そこからさらに1センチ炭状になるまで火で焼きます。

その後、濡れた新聞紙に包んだまますぐに水を張ったバケツに入ます。

花がシャッキリするまでつけておきます。

水があがったら炭状になった部分は切りもどします。

火で焼くのが効果的な花

  • バラ
  • ボタン
  • あじさい など

 

茎の根元を手で折る

ハサミやナイフなどは使わずに、切り花の根元から2~3センチほどの部分を手で折ります。

折る時は、水切りの時と同じく、水中でできると効果的です。

あまり茎がやわらかすぎず、折った際にきれいに折れて、二分できる切り花が最適です。

そうでない、切り花を折ってしまうと、植物の水の通り道をふさいでしまい、逆効果になってしまいます。

手で折るのが効果的な花

  • リンドウ
  • トルコキキョウ
  • キク など

 

茎の根元を割る・裂く

簡単にハサミで切ることがむずかしい植物にこの方法が用いられることが多いです。

十字型に茎の根元を縦に割る方法で、主に枝ものを水揚げするときに使われます。

ハサミなど割る・裂くのが効果的な花

  • ツツジ
  • サクラ
  • ツバキ など

 

水揚げ以外で花を長持ちさせる方法

上記に述べた方法で、切り花に十分に水分を吸い上げさせたら、今度は花瓶に生けた後に、出来るだけ花を長持ちさせる方法を紹介したいと思います。

花を長持ちさせるために大切なことは、水を腐らせないとことと、茎先の雑菌繁殖を防ぐことが大切です。

切り花は、茎の管から水を吸い上げています。

花瓶の水が汚れていると茎元も汚れ、花や葉まで水揚げできなくなってきます。

雑菌の繁殖を防ぐ方法には以下の方法があります。

  • 10円玉を入れる
  • 漂白剤を入れる
  • お酢を入れる

その他に、雑菌の繁殖を抑える方法以外では、水揚げを促進させたり、栄養が届くようにしてあげる方法に以下の方法があります。

  • 食器洗剤を入れる
  • 砂糖を入れる
  • サイダーを入れる

家にあるもので、試すことができるので是非試してみて下さい。

それでは、花を長持ちさせる秘訣を説明していきます。

※上の方法を組み合わせたものが、市販されている切り花延命剤になります。

 

10円玉を入れる

銅でできた10円玉は、水の中に入れると微量の銅イオンが水中に溶け出します。

この銅イオンには殺菌効果があるため、水中のカビや細菌の繁殖を抑えてくれます。

ただ、10円玉1枚から溶け出る銅イオンはわずかです。

10円玉は水に浸す時間が長いほど、徐々に銅イオンの溶け出す量が減っていきます。

また、10円玉を長く水に浸していると腐食してしまうので、適度なタイミングで10円玉を交換しましょう。

後、10円玉を入れて、適度な水かえと、茎の切り戻しをしてあげることも大切です。

 

漂白剤を入れる

漂白剤は水300mlに対し1滴たらします。

家庭にあるハイターやキッチンブリーチなどの塩素系漂白剤には、細菌が繁殖するのを防ぐ効果があります。

くれぐれも漂白剤は強力なので、入れ過ぎは花を傷める原因になるので注意します。

また、漂白剤を入れたからといって水が汚れなくなるわけではありませんので、水替えはしてあげましょう。

 

お酢を入れる

お酢は、水200mlに対して小さじ1杯以下を混ぜて入れます。

料理に使う酢は、掃除や洗濯など生活のさまざまなシーンにも活躍する便利な調味料です。

酢の主成分には酢酸と呼ばれる殺菌作用があり、カビや細菌の繁殖をふせぐ効果があります。

漂白剤同様、入れ過ぎは花を傷める原因になります。

茎の切り口を酢に直接30秒から1分程度つけてから、すぐに花瓶に生けるという方法も効果的です。

また、水が汚れないというわけではありませんので、水替えはしてあげましょう。

 

食器用洗剤を入れる

水200mlに食器用洗剤を2、3滴たらします。

食器用洗剤には、殺菌成分や界面活性剤が含まれています。

殺菌成分が水を腐りにくくし、界面活性剤が花の水揚げ促進につながると言われています。

お持ちの洗剤に殺菌成分、界面活性剤が含まれているかを確認して使ってみて下さい。

漂白剤と同じく入れすぎは、花を傷める原因になりますので注意します。

また、水が汚れないわけではありませんので、水替えはしてあげましょう。

 

砂糖を入れる

水200mlに、砂糖を小さじ2分の1杯程度入れて溶かします。

花は生長するために糖をエネルギーとしています。

その為、切り花の栄養になる砂糖は栄養を与えてきれいに咲かせることが期待できます。

ただし、細菌の栄養にもなってしまうため細菌が増えやすく茎の断面も汚れやすくなります。

その為、定期的な水替えと、水切りをして根元の断面をきれいな状態に保たせることが欠かせません。

漂白剤と併用することをおすすめします。

 

サイダーを入れる

水5:炭酸飲料1の割合が適量です。

サイダーなどの透明の炭酸飲料には果糖ブドウ糖が含まれていて、粒子が細かいため吸い上げしやすいと言われています。

また、炭酸ガスには抗菌作用もあり、水のにごりを遅らせるのに役立ちます。

炭酸飲料も、糖が入っているため細菌の繁殖につながりやすいので、こまめな水替えや、漂白剤や食器用洗剤と併用することをおすすめします。

 

切り花延命剤

お花屋さんや、スーパーの切り花コーナーで切り花延命剤というものが市販されています。

延命剤の効果には以下のものが含まれています。

  • 花に栄養を与える成分
  • 水を汚れにくくする殺菌成分
  • 水の吸い上げをよくする界面活性剤

水の中に希釈通りに入れるだけなので、使い方は簡単です。

決められた濃度をきちんと守って使うことが、長持ちの秘訣です。

延命剤を入れたからといって水替えをしなくていいというわけではありませんので定期的な水替えをしてあげましょう。

 

毎日水を替える

上記で、いろいろな方法を説明しましたが、夏場は特に暑いので花も傷むのが早いです。

夏場に関しては、延命剤などで栄養を入れてあげて、毎日水を替えてあげるのが、私としては一番いいのかなと思います(笑)

※水替えの時は適度に茎を切り戻しすることをおすすめします。

 

葉っぱ・水の量・ラッピングの注意点

切り花の水揚げ方法と、水揚げ以外の花を長持ちさせる方法を説明してきましたが、その他に注意してほしい点がありますので紹介します。

葉っぱは間引く

切り花の葉は、水につけっぱなしにしておくと、腐食がすすみ水が汚れる原因になります。

水につかる部分の葉は、取り除きましょう。

また、切り花は根がないため、水を吸収する力が弱くなっています。

葉から水分が蒸発していくので、葉がたくさんついていると水分や栄養が、花に行き届かなくなることもあるため、余分な葉は、取り除くと切り花を長持ちさせます。

 

水の量は、花の種類によって管理します。

花びんにいける花の種類によって水の量を調整した方がいいことがあります。

切り花の茎は、水につかっている部分が多いほど水が汚れやすくなります。

その為、花びんの水の量は深水にしすぎないようにしましょう。

ガーベラやヒマワリの花は、特に水の量を少なくすることをおすすめします。

花びんの水は3~5センチ程度の少ない量にします。

理由は、ガーベラやヒマワリの茎は他の花と比べて茎がとてもやわらかいからです。

深水につけておくと、水につかった部分の茎が腐食しやすくなりますので、少なめの水で飾るようにしましょう。

チューリップやカラー、ユリなどは他の花と比べると水をよく吸いますので、少し多めにしておく事をおすすめします。

アジサイやシャクヤク、枝ものの花などの茎がかたいタイプは、深い水の方がいいので花瓶の7~8割くらいを目安に水を入れるといいです。

夏場に関しては、特に花が水をけっこう吸い上げるので、水がなくなっていないかチェックすることも忘れないように気をつけましょう。

 

ラッピングは外す

花束や、アレンジメントでいただいた花には贈りもののため、ラッピングをされています。

花束はラッピングをすぐはずすと思いますが、アレンジメントでいただいた花は、ラッピングをはずさずに飾られる方がいらっしゃると思います。

ラッピングは、花の通気性が悪くなるため花を早く傷める原因になりますので、はずすようにしましょう。

 

切り花の水揚げ方法と花を長持ちさせる方法を解説!:まとめ

それでは、切り花の水揚げ方法と切り花を長持ちさせる方法をまとめたいと思います。

  1. 切り花の水揚げ方法は、主に茎を斜めに切る、水切り、湯揚げ、火で焼く、手で折る、ハサミなどで割る・裂くがあります。
  2. 切り花を長持ちさせる方法には、10円玉、漂白剤。お酢、砂糖、サイダーを入れると長持ちします。
  3. 切り花延命剤というのが市販されているので、簡単で使いやすいです。
  4. 水を替えてあげて、水をきれいにしてあげる事も大切です。
  5. 花の種類によって水の量を調節します。
  6. 水替えの時は、適度に切り戻しすることをおすすめします。

ここまで、切り花の水揚げ方法と花を長持ちする方法を解説してきましたが、いかがでしたか?

花には波動の高いエネルギーがあるので、パワーをもらえて幸せな気持ちになります。

是非お部屋に飾って、花を長持ちさせてあげて下さいね。

ここまで、読んでくださってありがとうございました。